「飲まなくても……良かったのですよ……?」
「口の中で出しておきながら、そんなことを言いますか」
くすっ、と笑いが漏れてしまいます。
それを見たお義父さんは、なんともバツの悪そうな顔をしました。
せっかく気持ちよくしてあげたのに、そんな顔をされるのは、良い気分ではありません。
「紫苑……こんなことをさせてしまって、申し訳ないです。こんな、あなたを汚すような真似を……」
「襲ったのは私の方ですよ? それに、お義父さんのおち○ちんなら汚くなんてありませんし、仮に汚かったとしても――それならそれで、汚れても構いません。むしろ、汚れたいとすら思います」
「な、なんてことを言って……あっ!?」
私の発言を咎めようとしたお義父さんでしたが、私は言い終わりを待たず、精液と唾液でびちゃびちゃになったペニスに舌を伸ばしていました。
「ちゅ、ん……あむ、ちゅっ、ちゅぷっ……ここはちゃんと綺麗にしておかないといけませんからね」
「わ、わざわざ口でやらずとも……っ」
「だって、おいしかったんですもの。お義父さんのおち○ちん……ちゅっ」
「くぅっ」
鈴口や竿の周りにこびりついていた白濁液を、丁寧に舐め取っていく。
後始末のつもりでしたが、舐めている内に、萎えていた肉棒が再び硬さを取り戻してくるのがわかります。
人の体とは、本当に正直で、嬉しくなってしまいます。
「まだ物足りないみたいですね?」
「そ、そんなことは……」
「お義父さん、私に嘘をつくのですか?」
「う……。か、快楽に流されるなど……あってはならないこと、です。これ以上の行為は、たとえ愛故に行われるとしても、情状酌量の余地は……ぎっ!?」
半ば反射的に、亀頭に軽く歯を立てていました。
先程までの幸福感は、既に薄れています。
代わりに私の胸に広がっていたのは、どす黒い欲望だけでした。
「し……紫苑……? 突然、何をするのですか……」
「何を……? 何をしているんでしょうね、お義父さん。実の息子同然に育ててきた私に、女性用の修道服など着せて、性器を舐められて、下半身丸出しで説教ですか?」
「ふ、服は、お前の趣味だからと思い、仕方なく……」
「でも、こうなることをどこかで期待していたのではないですか? 頭の中で私を裸に剥いて辱めたことが一度でもないと言い切れますか?」
「そ、れは……」
続きの言葉を発せず、うなだれる義父。
この期に及んで正直さを捨てられないお義父さんは、とても滑稽に思えます。
「ふふっ、否定しないんですね。そんなあなたが好きです。尊敬していますし、愛しています。だからこそ、一緒に汚れてしまってもいいと思えるのです」
「紫苑、私は……お前をそんなつもりで引き取ったわけでは……」
「わかっています。でも、情欲も湧いてしまったのなら、それでいいではないですか。欲望を持たない人なんて、死人同然です。私たちは今、この場に生きている。生きているから……誰かと気持ちよくなりたくなる。何もおかしいことなどありません。ですから」
私は抗いがたい愉悦を抑えようともせずに、唇の端を吊り上げて、言い放ちました。
「一緒に堕ちちゃいましょう、お義父さん?」
言いながら、私は修道服の裾をめくりあげて、自らも股間をさらけ出しました。
口淫によって既に体は火照っていて、ペニスがピンと天井を向いています。
ごくり、とお義父さんが生唾を飲み込んだのを、私は見逃しませんでした。
「もしかしてお義父さん、私のコレ……しゃぶってみたいんですか?」
「ち、違います……っ」
「それは残念です。でも安心してください。今回も私がしてあげる側ですから、うふふ」
見せつけるようにしながら、私は頭に着けているヴェール以外の衣服を全て脱ぎ去りました。
興奮しきった体は、夜の涼しさに負けないほど火照っています。
(ああ、もうこんなになって……我慢出来ません)
口では遠慮がちに言いながらも、次に訪れるであろう刺激を求めているお義父さんのペニス。
それをまたぐように立ってから、ペニスの先端をそっとおしりにあてがいます。
「ま、まさか……」
お義父さんもこれから何をされるのか、さすがにわかってくれたみたいです。
ほどよい硬さになっているおち○ちんを、そのすぼまりの入口にそっとあてがいました。
「や、やめなさい! それだけは、決して……!」
「もう遅いです、諦めて、愉しみましょう? んっ……!」
体の力を抜いて、少しずつ腰を下ろしていくと、私の不浄の穴にお義父さん自身が徐々に埋まっていきます。
カリの部分が腸壁を擦り上げてくると、声を我慢出来ません。
「あ、はぁっ! あっ……おおきっ、んくっ、す、すごい……すごいですっ……! こんなあっ……!」
その大きさに、私は素直に感動してしまいました。
まるであるべき場所に収まってくれたかのような、満ち足りた感覚が下半身から全身へ昇ってきます。
「お、ぐおお、の、呑み込まれて……うくっ」
「あっ、あっ、ああっ……! 私の中に、お義父さんが、きてますぅっ! もっと、もっと来てっ、来てください……!」
ならすように小さく腰を上下させて、お義父さんを味わいます。
初めての挿入にしては、窮屈感はあるものの、痛みの類はほとんどありません。
私の体は、えっちするために出来ているのかと、そんなことすら思います。
「んっ、はぁ……ふあぁあ……」
まだ半分ほどしか入っていないはずなのに、じんわり滲むような快感が広がってきます。
その快楽は強烈で、しかも少しでも動くと、新たな刺激が襲ってくるのです。
(こんなにも気持ちいいなんて、私は今まで一体何のために生きていたのでしょう……ああ、いい、いいです……)
この快楽を知ってしまっては、もう自慰など出来ないかもしれません。
ぼんやりとそんなことを考えていたせいで、不意に体の力が抜けてしまいました。
途中まで入り込んでいたペニスが、そのまま私の最奥まで貫き――
「んっああああっ!!」
「ふぐぅっ!? あ、かっ……!」
あまりの衝撃に、一瞬意識が飛ぶかと思いました。
ぱんぱんに張り詰めたおち○ちんがびくんと跳ねて、先端から透明な汁を溢れさせました。
(か、軽くイッてしまいました……)
お義父さんも、今のはかなり応えたのでしょう、私の中でこれ以上なく大きくなってしまっています。
もう抵抗どころか話す余裕もないようで、汗まみれになったまま体を投げ出しているだけです。
「んぅ……あふぅ……ん、くぅ……っ」
小さく腰を浮かすだけで、目の前がちかちかしてきます。
「ど、どうですかぁ……? お義父さん……きもちいい、ですか?」
「はぁー……はぁ……い、いいっ……あああっ……!」
感じているような苦しんでいるような呻き声を漏らしながらも、お義父さんは確かに頷いてくれました。
あのお義父さんが、おち○ちんをおしりの穴に挿入られて、気持ちいいだなんて……。
普段は絶対に言ってくれない台詞が聞けて、背筋がぞくぞくっと震えました。
「動きますねっ……んぅぅぅっ! くっ、んっ! はぁ、はぁっ、中で擦れてっ、これ、だめぇ……っ!」
ペニスを抜き差ししているだけなのに、天にも昇る心地になります。
「んっ、んんっ、ふはぁ! えっちするための穴ではないところに、おち○ちん入れてるのに、なんでこんな、んああっ! きもち、いいっ……!」
ぐっちゅぐっちゅと結合部からいやらしい音が聞こえてきます。
部屋の中にはその音と、二人分の荒い呼吸だけが響いていました。
「う、ううっ……紫苑、っくぁ! お、おお……っ!」
「ふひゃぁんっ!」
雄の本能に突き動かされたのか、お義父さんも下から突き上げてくれました。
突然だったので、あられもない嬌声を出してしまい、快感と恥ずかしさが同時にやってきて、わけがわからなくなってきます。
「あんっ、んっ、んはぁ、はぁっ、素敵ですっ、もっとして、してください……!」
ちらりとお義父さんの様子を見てみると、なぜかお義父さんは泣いているように見えました。
その涙の意味を考えるより早く、絶頂の波がすぐそこまで近づいてきていました。
「はぁっ、はぁっ、お義父さん、すき、すきです、愛してますっ! 一緒に、だめに、んはぁっ、なっちゃいましょう!」
「おっ……ぐぉ……おおおっ!!」
むくむくと、より一層肉茎が膨れ上がってきたのが粘膜で直接感じられます。
もうすぐそこまでゴールが見えているのがわかり、更に腰の動きを速めました。
そして、ペニスの先端が私の一番深い部分をえぐったと同時に、
「んんんぅっ!?」
どくんっ!!
「あっ、ああっ? あ、あんっ、ふぁぁっ!!」
力強く息づいたペニスから、私の奥底に熱いものが流し込まれてきます。
びゅくびゅくと体内があたたかいもので満ちてくるのがわかり、歓喜に震えてしまいました。
「ふわぁぁぁっ……きてる、きてますっ、私のなかに、お義父さんのがぁっ……あっ、やぁっ!」
少し遅れて、私のペニスからもぴゅっぴゅっと、白いものが吹き出して、お義父さんのおなかを汚しました。
自分が誰かで満たされる感覚というのが、こんなにも幸せなものだなんて。
これを知ってしまったら、駄目になってしまうしか、なくなってしまいますね……。
だってもう、これ以外に何もいらないって、そう思い始めていますから。
お義父さんが長い間、行為に至ろうとしなかったのもわかる気がします。
まあ、今となってはどうでもいいことですけれどね。
「ふおお……はぁっ、はぁっ、はぁ……」
「気持ちよかったですね、お義父さん……くすっ」
おしりにペニスをくわえ込んだまま、お義父さんのたくましい胸に軽く体重をかけます。
小さく尖った乳首をくりくりしながら、愛を囁くように、優しく甘い声音で、言いました。
「これからもっともっとしましょうね。もっとぐちゃぐちゃに絡み合って、交ざり合って、溶けちゃいましょう? 明日も明後日もその次の日も、朝も昼も夜も、ずっと……最後の別れのときまで、二人でねっとりただれてしまいましょう? ねえ、お義父さん? ……フフ、あははははははは!!」
これからの悦楽の日々を思うと、込み上げる笑いを堪えられません。
そんな私を、お義父さんは虚ろな目で見上げていました。
それが、私が最後にお義父さんに笑いかけてもらえた日の、最後の出来事でした。
了