まにょっこ☆みのりん プレストーリー

■02

 目を覚ますと、カーテンの隙間から朝日が差し込んできていました。
 時計の針は縦に一直線に下りようとしています。
 アラームの予約を取り消して、ぼんやりとした意識のまま天井を見つめ、ほうと小さく息をつきます。
 ……どうして今更、子供の時の夢を見たのでしょう。
 まだ小さかった頃、ぼくを助けてくれたみのりちゃんの夢。
 ぼくの初恋の人の、夢。
(結局あれから、一度も会えずじまいなんですよね……)
 彼女は、ぼくのことを覚えてくれているでしょうか。
 出来ることならまた会ってみたい。そう思う気持ちは強いです。
 忘れられていたらと思うと、少し怖い気もします。
 だけど、それでも、もう一度会って話がしたい。
(ぼくも少しは大きくなりましたし、みのりちゃんもきっと美人さんになっているんでしょうね)
 当時ですら天使のようだった彼女のことです、きっと花の精のように可憐な女の子になっているに違いありません。
 頭の中で成長した彼女の面影を想像していると、ふとあることに気付きました。
 自分の股間が、大きく盛り上がっていることに。
(あう……こっちも大きくなってしまいました)
 ぼくだって、一応年頃の男の子です。
 寝起きにここが硬くなってしまうのは、健康な証拠だと喜ぶべきことなのかもしれません。
 とはいっても、やはり恥ずかしいものは恥ずかしいのです。
 いつもならトイレに行って用を足すところですが……。
 なんとなく、自分のそこに指先を触れさせてみました。
「んっ……」
 パジャマの生地越しに、くすぐったいような弱い刺激が伝わってきます。
 すると、ぼくの男の子の部分はますます元気になってしまうのでした。
(まだ時間もありますし、たまにはいいですよね……)
 以前、クラスの男の子が「溜め込むのは良くない」と言っていた気もします。
 普段は自分でしようとはあまり思いません。
 今朝に限ってしてみようと思ったのは、みのりちゃんの夢を見て、気分が高まっていたからでしょう。
 掛け布団を足で押しのけて、パジャマのズボンとパンツを、汚れないようにそっと足首の方まで下ろすと、元気な部分がぴんと天井を向きました。
 そっと右手で握ると、どくどくと脈打っているのがじかに伝わってきます。
(すごい、もうこんなに硬くなってます)
 その事実に興奮を覚えたぼくは、左手でパジャマのボタンを外して、前をはだけさせました。
 ほんのり桜色に色づいている二つの突起に、指先で軽く触れてみます。

 

「ん……ふぅ……」
 くすぐったいような刺激は、弱い電気を流しているような感じです。
 ふにふにと軽く摘んでみたり、押してみたりしていると、突起がつんと硬くなっていくのがわかります。
 生理現象だとはわかっていますが、こんなにすぐ反応してしまうのは、やっぱりぼくのカラダがえっちだということでしょうか……。
 なんてことを思いながら、右手をゆっくりと上下に動かします。
「ふぅ、ふぁ、はぁぁ……」
 痺れるような快感がせりあがってきます。
 自分でやってもこれだけ気持ちいいのですから、好きな人にやってもらったら、きっともっと気持ちいいのでしょう。
(もしみのりちゃんにしてもらえたら……天にも昇る心地なのでしょうね)
 半ば無意識の内に、ぼくはみのりちゃんの面影を思い出していました。
 あの優しい笑顔を自分の想像で汚してしまう背徳感に、ぼくの興奮はより高まっていきます。
「はぁ、はぁ、はぁ、んっ!」
 自分ではなくて、みのりちゃんにしてもらっているような気持ちでおち〇ちんをこしゅこしゅします。
 透明な汁が、先っぽからじわりと滲んできます。
 ねちゃりと粘り気があって、すごくえっちなお汁です。
 ぼくのえっちな気持ちが、そのまま体から溢れてきたみたいです。
 これをみのりちゃんに、ぺろぺろって舐めてもらえたら、どんなに気持ちがいいことでしょうか……。
 長い間会っていない初恋の人を性欲の捌け口にするなんて、ぼくはダメな男の子です。
 そう思うのに、おち〇ちんはより硬くなり、燃えるような熱さを帯びています。
「んくぅっ……い、いい、きもち、い……!」
 ほんの少し動かすだけで、腰が引いてしまうほどに快感が強くなっていました。
 全身が熱くなっていて、じっとりと汗ばんできています。
 すごい、です。ぼく、明らかに発情しちゃってます。
 こんなところを誰かに見られたら、恥ずかしさできっと死んじゃいます。
 露出なんて、さすがにそんな性癖はありませんけど……多分。
「だ、だめ、声、抑えないと……っ」
 あまり大きな声を出してしまうと、隣の部屋で眠っているお姉ちゃんたちを起こしてしまうかもしれません。
 それだけならいいですが、もし心配したお姉ちゃんたちが様子を見に来たりして、万が一この状況を見られたら?
 ……間違いなく、気まずい空気になるのは目に見えています。
 それだけは絶対に避けないといけません。
 だから、どんなに気持ちよくても、出来るだけ声は出さないようにしないと……。
「ん、んん……んく……んんんっ!」
 口を閉じて、なんとか声が漏れないように我慢をします。
 荒い呼吸音が部屋に小さく響きます。
 と、おち〇ちんの根元辺りがぐるりと動きました。
 最後の瞬間が近いことを悟り、手の動きをゆっくりと速めていきます。
「いい、ですっ。もっと、して……っ」
 上目遣いでぼくの局部を弄っているみのりちゃんの意地悪な表情を思い浮かべます。
 グツグツと煮えたぎっている白い欲望が、いよいよせりあがってくるのがわかります。
「き、きます、あっ、きちゃいますぅ……っ!」
 このままじゃ汚してしまいますから、ティッシュを取らないと……。
 反射的に左手を伸ばして、すぐ近くに置いてあるティッシュ箱に手を伸ばしました、が……。
(え? か、からっぽ?)
 そういえば、昨夜寝る前に使い切っていたのでした。
 眠いから、新しいのを出すのは明日でいいや……そう考えたのが完全に裏目です。
 ダメなのに、右手の動きは貪欲に快楽の果てへ辿り着こうとして、止まってくれません。
 もうだめ、出ちゃう……出ちゃいますっ!
「ふ、ああああっっ……! ああっ……いっくぅ……んっ!」
 体を弓なりにして、つま先までぐんと張って、僕は絶頂してしまいました。
 弾けた白濁とした液体が、お気に入りの水玉パジャマをべとべとに汚していきます。
「ふあ……はぁ……んはぁぁ……」
 全身の力を抜いて、僕はしばし絶頂の余韻に浸りました。
(やってしまいました……うわあ、もうべとべとじゃないですか)
 はあ、と深く溜息をつきました。
 時計を見ると、二つの針が真下を向いていました。
 後始末をすることも考えると、あまりぼんやりしている時間はなさそうです。
 気だるさを纏った体をなんとか起こして、僕は精液の染み込んだパジャマをいそいそと脱ぎ始めました。
 これをお姉ちゃんたちが起きてくる前に、洗濯機に入れて証拠隠滅しておかないと……。
 そんな風に、考え事をしていたせいでしょうか。
 部屋の扉がほんの僅かに開いていたことに、僕は気づくことが出来なかったのでした。

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